まだ見ぬ駅を求めて~逆瀬の駅巡り旅~

駅巡りの記録をひたすら載せていくブログです。やたら更新する時と全く更新しないときがあります。

7/22 初夏の中国山地駅めぐり その1(伯備線・芸備線・姫新線)

4月上旬から7月下旬まで実施されていた芸備線の一部区間(備後落合~備中神代)での臨時増便。本数の極端に少ないこの区間の駅を降りるにはまたとないチャンスということで、18きっぷシーズンが始まるとともに行ってまいりました。

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オリオンバス7351便

バスタ新宿を21:35発オリオンバス7351便岡山・高知行きで出発し、岡山駅東口に到着したのは翌朝6:28。幸いにも天気は晴れています。このまま天気が持ってくれれば駅めぐりにも都合がいいのですが。

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備中川面駅

岡山からは6:37発普通新見行き841M(クハ115-1079)に乗車し、まずは備中川面へ。昭和29年の高梁市成立まで存在した旧上房郡川面村の駅で、昭和2年開業時は終着駅でした。翌年10月に足立まで延伸したものの、上石見までの運転が開始されるまでの一か月間は相変わらず終着駅でした。駅舎は昭和55年3月に改築されたもので、伯備線ではよく見られるデザインです。

ホームを撮影していると特急やくも1号が入線してきて運転停車し、やくも4号の通過を待ってから発車していきました。山陽と山陰を結ぶ重要な路線とはいえ、備中高梁以北では井倉~石蟹を除き複線化されていません。

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木野山駅

備中川面8:01発普通播州赤穂行き846M(クモハ115-1544)で木野山へ。備中川面より一年早く大正15年に開業した駅で、備中川面駅開業までの一年間は終着駅でした。高梁市成立前の所在地は旧上房郡津川村。駅舎は昭和55年3月改築で、備中川面と同型です。駅裏の空き地は地元の老人会によって公園として整備されており、緑化推進運動や「花と緑の駅」コンクールで表彰されています。桜の木も植えられているので春はさぞかし美しい景色が見られることでしょう。

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方谷駅

木野山8:24発普通新見行き843M(クモハ115-1542)で方谷へ。幕末に活躍した当地出身の漢学者・山田方谷に由来する人名駅で、昭和3年10月開業時に建てられた木造駅舎は国の登録有形文化財となっています。無人駅ではあるものの、旧事務室は「方谷駅資料室」として開放されており、保存状態は良好です。写真を撮るために木製の引き戸を閉めるとヤモリが2匹、ボトリと床に落ちました。90年もの時を経てきた駅舎はヤモリにとっても居心地の良い住処であるようです。

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日羽駅

方谷9:02発普通播州赤穂行き848M(クモハ115-1516)で日羽へ。築堤上にある高架駅で、遮るものがほとんどないため、ホームからの眺めは良好です。現在のホームは昭和45年の複線化に伴う移転時に造られたもので、鉄建公団線の駅のような雰囲気が漂います。

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備中高梁駅

日羽9:57発普通新見行き845M(クハ111-2052)で備中高梁へ。備中松山城を擁する城下町・高梁市の代表駅で、駅舎は平成27年4月11日使用開始の半橋上。立派な高梁市図書館が隣接しています。図書館の一階にはバスターミナルもあり、大都市顔負けの立派な施設のように見えますが、肝心の駅舎の方は特急停車駅にしては小規模で、中にはトイレすらありません。まあ隣の図書館に売店から何から揃っているので設備は最低限でも問題ないのでしょうが。

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備中高梁駅(H26-12-24)

訪問するのは旧駅舎時代以来5年半ぶり。あまりの変わりように驚きました。旧駅舎の跡地は整備されてロータリーになり、山田方谷銅像が立っています。旧駅舎の左の赤い鉄骨が現駅舎、この状態からたったの五カ月で完成しました。

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備中広瀬駅

備中高梁10:39発普通和気行き850M(クモハ115-1663)で備中広瀬へ。高梁川沿いの集落にある駅で、国道180号に背を向けるように存在しています。駅舎は昭和56年10月改築で、備中川面木野山の駅舎とは屋根の形状こそ違いますが、似たような雰囲気。

平成30年7月7日の集中豪雨では駅全体が水没する被害を受け、その際に故障したとのことで駅舎隣のトイレは今も使用停止となっています。

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石蟹駅

備中広瀬11:04発普通新見行き847M(クハ212-102)で石蟹へ。昭和29年の新見市成立まで存在した旧阿哲郡石蟹村の駅で、昭和3年10月開業時の木造駅舎が残ります。

駅舎内にはタクシー案内所が入居し、切符を販売する簡易委託駅となっていますが、訪問時は人の気配がありませんでした。

平成3年の古谷一行さん主演のTBSドラマ「八つ墓村」では、石蟹駅八つ墓村の最寄り駅として登場するのですが、実際に撮影されたのは山陰本線旧線の保津峡駅で、「石蟹駅」と看板こそ掛かっているものの駅前に吊橋のかかった駅が出てきます。

 

 

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井倉駅

石蟹12:00発普通長船行き852M(クモハ213-8)で井倉へ。駅裏に石灰石採石場があるため独特の景観を見せる駅で、井倉洞・満奇洞という有名な鍾乳洞への最寄り駅です。昭和57年から平成18年までの間、特急やくもが一往復のみ停車していました。

駅舎は昭和61年3月に改築されたもので、ホームとは地下通路で結ばれています。

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備後落合行き443D

井倉12:35発普通新見行き849M(サハ213-6)で新見へ。新見からは13:02発普通備後落合行き443D(キハ120-342)で芸備線へと入っていきます。増便期間を除けば、この列車は東城から先へ向かう2本目の列車。東城から先は午前中の列車が一本増えただけですが、それだけでも駅めぐりの難易度は一気に下がります。

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内名駅

内名で下車。東城から乗ってきたおじいさんも一緒に下車しました。内名駅の駅前に人家は一軒のみ、おじいさんは線路を渡ると荷物を猫車に載せて家へと帰っていきました。この駅前のお宅、よく見ると車道が通じておらず、住民は外へ出るにも帰るにも勝手踏切を渡るしかないのですが、おそらくJRは黙認状態なのでしょうね。駅を撮っていると郵便配達の人もやってきましたが、同じように線路を渡っていきました。他の場所ではよく見る「横断禁止」の看板が無かったのも、もし横断を禁止してしまうと生活ができなくなってしまうという事情を鑑みての配慮なのでしょうか。

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内名駅 待合室

ホーム上の待合室は昭和30年7月開業時に建てられたものですが、リニューアルされているので古さは感じさせません。利用者の極めて少ない駅にも関わらず、内部は飾り付けられていて地元住民の愛を感じます。記念カードとバッジを持ち帰れるとのことなので記念に一つ頂いてきました。さすがにただでもらうのは申し訳ないのでお賽銭感覚で五円玉を置いていきましたが、同じことを考える人は多いようで一円玉と五円玉が何枚か置かれていました。

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野馳駅

内名15:07発普通新見行き444D(キハ120-342)で野馳へ。昭和5年11月に三神線の駅として開業した際に建てられた押縁下見板張りの木造駅舎が残ります。今年で築90年、引き戸や一部の窓こそ取り換えられているものの雰囲気は抜群です。駅名は昭和30年の旧阿哲郡哲西町(平成17年新見市と合併)まで存在した旧野馳村に由来します。駅名看板の文字は「㙒馳驛」と旧字体なのがまた歴史を感じさせます。旧事務室部分には妹尾タクシーが入居しており、切符の販売はそちらに委託されています。

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東城駅

野馳16:45発普通東城行き453D(キハ120-342)で東城へ。平成17年に庄原市と合併した県境の街・旧比婆郡東城町の玄関口で、新見方面からの折り返し列車も設定されています。駅舎は昭和5年11月開業時のもので、リニューアルされて町の玄関にふさわしい佇まいを見せていますが、朝を除き無人で人の気配もほとんどありません。

しかし駅前には広島へ向かう高速バスや市内循環バスも発着しているため今なお交通拠点であることに変わりはありません。

とはいえ平成30年の一日の平均乗車人員は11人で、今後の存続が危ぶまれます。

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備中神代駅

折返し東城17:10発普通新見行き454D(キハ120-342)で備中神代へ。伯備線芸備線の分岐駅ですが、無人駅で周辺も閑散としています。昭和52年の映画「八つ墓村」にも登場した駅舎は平成13年1月に解体されて、車寄せだけが残されています。代わりに設置された待合室は旧駅舎の部材を再利用しており、窓口部分が保存されていますが、待合室の入口には蜘蛛が巣をつくり、ゴミが放置されて荒れた印象を受けました。

ちなみにこちらで撮影された八つ墓村金田一を演じたのは渥美清さんで、田舎の駅に降り立つ渥美さんと言うとどうしても寅さんっぽい印象を受けてしまいます。

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ピオニーポーク丼

備中神代17:55発普通新見行き828M(クモハ115-1503)で新見へ戻り、駅前の「味の庄 伯備」で夕食。朝と昼を抜いて空腹の極みにあったので、備中神代駅滞在中もずっと夕食のことばかり考えていました。ピオニーポークは新見の新名物だそうで、高級な千屋牛と比べるとリーズナブルに頂けます。駅前すぐで乗り換え時間でも気軽に食べられるので次来る時は他のメニューも試してみたいですね。

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岩山駅

腹ごしらえを済ませたら新見18:48発普通津山行き868D(キハ120-359)に乗って姫新線で一駅の岩山へ。昭和4年4月開業時に建てられた木造駅舎が残ります。日没間際の上に雨が降っていたので撮影は結構大変でした。駅舎の灯りは感知式で、知らずに夜降りると室内が真っ暗で面喰います。

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夜の帳の下りた駅に列車が到着

駅舎を撮っているうちにすっかり日が暮れ、岩山19:28発普通新見行き869D(キハ120-358+キハ120-337)で新見へ戻ります。この日は駅から徒歩5分のホテルエイコーに宿泊。明日も朝が早いのでホテルの前のローソンで食料調達を済ませました。