まだ見ぬ駅を求めて~逆瀬の駅巡り旅~

駅巡りの記録をひたすら載せていくブログです。やたら更新する時と全く更新しないときがあります。

2/8 アルピコ交通上高地線駅めぐり

解体工事が始まった旧島々駅舎を一目見るべく、この日は松本に行ってきました

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5901便

バスタ新宿を7:05発特急新宿行き5901便で出発。片道3600円で乗り換えなしはありがたいですが、ずっと座ってるとさすがに疲れてきます。途中、双葉SAで8:50から9:03まで休憩のため停車しました。

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代行バス 渚にて

終点・松本バスターミナルには10:22着。JRでやってきた友人と合流し、アルピコ交通の10:37発代行バスに乗車。アルピコ交通上高地線は松本と新島々を結ぶ路線ですが、松本~渚間は昨年8月14日の豪雨災害の影響で運休し、バス代行となっています。

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渚駅

渚で代行バスから10:48発新島々行き15(3007)に乗り換え。渚は単式ホームだけの無人駅で、折り返し設備は急ごしらえの仮設のもの。100年前の大正11年5月3日に初代「西松本」として開業、昭和2年5月1日に現在の西松本駅が開業すると改称されました。かつては国鉄と貨車の受け渡しをする貨物ヤードがあったそうですが、今では痕跡もありません。

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新島々駅

終点・新島々へ。大正11年9月26日に筑摩鉄道島々線の「赤松」として開業した駅で、昭和41年10月1日に島々駅からバスターミナルが移されて「新島々」に改称されました。新島々~島々は昭和58年8月23日の台風10号で被災して運行を休止、昭和60年1月1日に廃止となって当駅が終着駅になっています。駅舎は平成14年7月20日の山小屋風。バスターミナルが併設されて上高地、高山方面への交通結節点となっていますが、駅周辺は特に大きな町ではありません。

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旧島々駅舎

駅前には昭和60年に廃止となった旧・島々駅の駅舎が移築復元されています。筑摩鉄道島々線の終着駅として開業した際に建てられた洋風の木造駅舎で、廃止後の昭和63年に一度解体されましたが、平成2年に「波田町観光案内所」として部材を使って復元されました。波田町松本市に合併された後も使用されていましたが、老朽化を理由に平成28年4月1日に二度目の廃止を迎えました。その後、地元ではこの駅舎を何とか有効活用という動きもあったようですが、残念な「ある理由」から松本市に活用案をにべもなく拒否されてしまい、今年2月1日より解体工事が始まりました。その経緯については以下のブログで紹介されているので是非ご覧ください。

www.matsuaz.com

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旧島々駅舎

地元の熱意により、廃止後に奇跡的に蘇った貴重な歴史的建造物が、保存活用の手が差し伸べられていたにも関わらず、お役所の都合によって解体されてしまうという悲しい現実。再建に努力した波田町が今も健在であればまた違った未来も拓けたのかもしれませんし、これもまた平成の大合併によってもたらされた悲劇の一つと言えるのかもしれません。

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旧島々駅舎と模型

向かい合う新島々駅の待合室には旧島々駅舎の模型が展示されています。この模型は今後も旧島々駅舎の姿を伝えて行ってくれるでしょうが、実物とのコラボが見られるのもあと少しです。

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新村駅

新島々12:48発渚行き24(3008)で新村へ。大正10年10月2日、筑摩鉄道の終点として開業した駅で、車両基地が併設されています。駅舎は平成24年3月24日に改築されたもので、隣には平成29年3月下旬まで旧駅舎が残されていました。旧駅舎正面に掲げられていた社紋は保存されています。さすがにデザインでは旧駅舎に敵いませんが、現在の駅舎もよくまとまっていて好ましいスタイルです。駅名は昭和29年に松本市編入された旧・東筑摩郡新村に由来します。

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新村車両基地

車両基地の建屋の中には東武20000系の中間車を京王重機で改造した20100形が休んでいました。老朽化が進む現行の3000系の置き換え用に譲り受けたもので、3月より運行開始予定とのことです。

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木造貨車とED301

車両基地には大糸線の前身・信濃鉄道が昭和2年アメリカから輸入したED301が保存されているほか、木造有蓋貨車2両を転用した倉庫が置かれています。かつては日本最古の電車「ハニフ1」と東急5000系を譲り受けた5000形も保存されていましたが、いずれも他の保存場所に移されています。

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渕東駅

新村13:43発新島々行き23(3007)で渕東(えんどう)へ。のどかな田園地帯の中にある無人駅で、周りを囲む山々が美しいです。そのロケーションの良さからドラマの撮影にも使われているようです。上高地線のイメージキャラクター「渕東なぎさ」の苗字はこの駅から取られており、駅名標にも渕東なぎさがデザインされています。

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三溝駅

渕東14:08発渚行き28(3008)で三溝(さみぞ)へ。平成の大合併前の旧・波田町と旧・松本市の境界近くにある駅で、ホーム上に待合室があります。しだれ桜が有名な安養寺の最寄り駅で、駅名標にはしだれ桜がデザインされています。

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下島駅

三溝14:24発新島々行き25(3001)で下島へ。県立梓川高校の最寄り駅で、ホーム上にバス停のような簡素な上屋があります。すぐそばを交通量の多い国道158号が通っており、駅前は宅地化が進んでいます。

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森口駅

下島14:53発渚行き30(3002)で森口へ。波田町森口地区にある交換可能駅で、JRなら早期に無人化されていそうな小さな駅にも関わらず駅員が配置されています。駅舎は新村と同時に改築されたもので、役目を終えた旧駅舎は平成27年3月26日まで残っていました。駅舎こそ新しいですが、列車が来るたびに駅員さんがホームに出て見送る姿などは昔ながらの小さな駅の風景と言った感じです。

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波田駅

森口15:05発新島々行き27(3007)で波田へ。平成22年に松本市と合併した旧・東筑摩郡波田町の玄関口で、直営の有人駅です。昭和31年5月1日までは「波多」という表記でした。駅舎はテナント店舗「はたはたランド」を併設したもので、系列のスーパーマーケット「アップルランド波田店」の旧店舗を転用したものでしたが、平成24年に店舗部分が建て替えられました。駅舎の規模に不釣り合いな立派な玄関は旧店舗時代の名残です。

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旧・東筑摩郡波田町役場

駅裏手の坂を下ったところには旧・波田町役場を転用した松本市役所波田支所があり、その駐車場の片隅に木造二階建ての旧庁舎が残されています。大正14年に「波村役場」として建てられたもので、元は現在の農協の位置にありましたが、農協事務所の建設に伴って昭和31年に曳家移転されました。平成2年に現庁舎の建設が始まった際には解体も検討されましたが、再び移築されることになり、合わせてバルコニーなどが復元されました。旧島々駅舎の復元も同時期で、どうやら波田町は歴史的建造物の保存に熱心だったようです。この建物も合併を経た現在では解体の危機に晒されており、地元では保存に向けた運動が行われています。

www.shimintimes.co.jp

ちなみに波多村ですが、上水道敷設と政党の対立に絡んで村を二分する争いが起きたことから、「波(乱)が多い」と読める村名を昭和8年2月16日に水の豊かな田んぼへの願いが込められた「波田」に改めています。駅名が村名に追随したのは戦後のことでした。

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渚駅

波田16:09発渚行き34(3002)で渚へ。行きは撮れなかった車止めなどを撮影。災害の影響による期間限定の終着駅、一日でも早く全線復旧して解消されてほしいものだと思います。

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田川橋梁

16:35発代行バスを西松本で下車。昨年8月の豪雨で被災した田川橋梁を見に行きます。流出こそしませんでしたが、橋脚が傾いて使用不能になったことから、被災部分を一旦撤去して架け替え工事が行われています。復旧は今年6月の予定です。

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西松本駅

田川橋梁を渡ったところにあるのが西松本駅。運行休止中にも関わらず構内に入ることができますが、ホーム渚寄りは立入禁止となっています。線路に建てられたフェンスの先は田川橋梁です。

松本バスターミナル17:20発特急新宿行き5934便と6分遅れの新宿20:34発山手線外回り2013G(サハE235-22)で帰宅しました。