まだ見ぬ駅を求めて~逆瀬の駅巡り旅~

駅巡りの記録をひたすら載せていくブログです。やたら更新する時と全く更新しないときがあります。

12/14 横手・湯沢を散策&奥羽本線駅めぐり

冬の東北遠征二日目は横手からスタート

斎太薬局本店

列車に乗る前にまずは雪のちらつく早朝の横手市内を散策。秋田藩佐竹氏の重臣・戸沢氏の治める横手城の城下町として栄えてきた町で、古い建物も多く残っています。登録有形文化財の斎太薬局本店は蔵造りの店舗が明治36年頃、洋風の調剤室・応接室部分が昭和初期の建築。店舗部分は雪除けのためか覆われていました。

旧平源旅館

旧平源旅館は明治6年創業。土蔵以外は大正15年の火災で焼失して再建されたもので、本館は味のある洋風建築です。多くの有名人が宿泊した歴史ある宿で、内田百閒も昭和26年10月26日に「奥羽本線阿房列車」の旅で横黒線(北上線)の大荒沢駅を訪ねた後に宿泊しています。平成20年に閉館し、改装の上現在はゲストハウスとして使用されています。かつては駅前の「平源支店弁当部」で駅弁の製造販売も行っていました。

出羽印刷

出羽印刷は大正時代に建てられた建物で、バルコニーの造りが歴史を感じさせます。ジャーナリストで、戦後に首相を務めた石橋湛山は、東京大空襲後に東洋経済新報社を当地に疎開させ、横手支局を開設。戦争の早期終結を主張する新聞を当地から発信しました。詳細については以下のPDF「歴史を語る建物たち秋田編 (第11回)」を参照

https://www.fir.co.jp/fs_bk/201401/12-13.pdf

湯沢駅

横手駅に戻り、7:30発普通湯沢行き430M(クハ700-14)で湯沢へ。秋田県最南端・湯沢市の代表駅で、平成27年10月31日に橋上化されています。かつては西馬音内・梺までの羽後交通雄勝線が分岐していました。前首相・菅義偉氏は合併で湯沢市となった旧・雄勝郡秋ノ宮村(→雄勝町)の出身で、湯沢高校への通学で湯沢駅を利用していました。地元では菅氏の功績を称えて駅前に銅像を建てる計画があり、早ければ来春にも建立されるとのことです。駅巡erとしては駅舎と絡めた構図をつくりやすい場所に建ててほしいと思うのですが、果たしてどの辺りに建つのでしょうか。

雄勝郡会議事堂記念館

湯沢市街の片隅に建つ雄勝郡会議事堂は明治25年11月1日落成。設計は氏名不詳のドイツ人で、大工棟梁は阿部孫四郎。郡制廃止後は湯沢町役場や湯沢市役所、図書館などとして昭和57年まで使用されていました。今年で廃止から百年を迎える「郡制」の存在を今に伝える貴重な存在です。

湯沢市商工会議所会館

湯沢は佐竹南家の治める秋田藩の南の要衝として栄えた城下町で、公共施設は湯沢城麓の山の手に集中して立地しています。市役所は新しい建物ですが、商工会議所と隣接する湯沢生涯学習センターは年季が入っています。商工会議所会館の方は移転して使用されていません。生涯学習センターは昭和46年竣工で、裏手に建つ湯沢勤労青少年ホームは昭和43年竣工。

湯沢の洋館

山の手の住宅街に建つ洋館。大正12年築。

旧京山合名会社(雄勝植林)

こちらは旧郵便局のようにも見えますが、材木会社の本社で昭和5年築。

雄勝教育会館

駅前に建つ雄勝教育会館の詳細は不明。古いのか新しいのかよく分からないデザインですが、玄関部分は後からの増築でしょう。

外旭川

湯沢8:57発普通秋田行き2433M(クモハ701-24)で秋田へ。羽越線からの乗り換え待ちで5分遅れの秋田10:38発普通男鹿行き1131M(EV-E801-5)で泉外旭川へ。令和3年3月13日に開業した、秋田県で最も新しい駅で、離れて走る上下線の間に駅舎が設置されています。駅の南北とは地下通路で結ばれていて、南側が「泉」地区、北側が「外旭川」地区。いずれも秋田市郊外の住宅街で、開発が進んでいるにも関わらず、当駅開業まで駅がなく不便でした。泉地区は明治22年の町村制まで存在した南秋田郡泉村に由来し、町村制で下旭川村となりましたが、明治25年8月には上旭川村と合併して旭川村となり、昭和8年3月に秋田市編入されています。外旭川地区は元は町村制で成立した南秋田郡外旭川村で、昭和29年10月に秋田市編入されました。外旭川は近隣の八橋地区と共に日本では珍しい油田のあるところで、現在でも数基の油井が稼働しています。

鯉川駅

外旭川からは10:59発普通東能代行き1651D(GV-E400-16)に乗車。大久保~八郎潟間では強風のため速度を落として運転し、遅れは羽後飯塚で6分、八郎潟で15分と進むにつれて拡大していきました。下車予定の鯉川には17分遅れで到着。昭和19年9月30日に信号場として開業し、昭和25年2月1日に昇格した駅で、駅名は明治の町村制で鹿渡村が成立するまで存在した山本郡鯉川村に由来します。駅舎は昭和57年3月に海上コンテナを改造した駅舎に改築されましたが、平成19年7月には現在の簡易駅舎に改築されました。鬱蒼とした鉄道林に抱かれるような立地の駅で、鉄道林の切れ目から八郎潟がちらりと覗いています。

鯉川駅

乗ってきた1651Dは遅れている特急つがる2号との行き違いのため7分間停車し、11:59発。こんなにダイヤが乱れてしまっては次の列車がいつ来るか分からないので、鯉川駅の撮影はさっさと済ませて引き続き1651Dに乗車しました。

鹿渡駅

25分遅れで到着した鹿渡で下車。平成18年3月の合併で三種町となった旧・山本郡琴丘町の玄関口で、昭和30年の琴丘町成立までは鹿渡町でした。平成7年10月改築の駅舎はコミュニティ施設「青春館」との合築で、簡易委託の窓口が設置されています。天気は晴れたり吹雪いたり不安定で、次の列車も遅れていていつ来るか分からない状況でしたが、有人駅だけあって待合室にストーブが点いていたのがありがたかったです。

北金岡駅

8分遅れの鹿渡12:29発普通弘前行き1657M(クモハ701-28)に乗車。再び風の強い区間を走行したため、森岳には20分ほど、北金岡には27分の遅れで到着しました。ホームに降りると対向ホームには92分遅れの定刻11:28発普通秋田行き1650Mが停車しており、93分遅れで発車していきました。この日の奥羽本線は雪と強風に加えて架線への飛来物の影響でかなりの遅延や運休が発生していました。北金岡は鯉川と同時に金岡信号場として開業し昇格した駅で、昇格時に「北」を加えたのは阪和線金岡駅(昭和40年に堺市駅に改称)と区別するためでしょう。開業時の所在地は山本郡金岡村で、昭和30年4月の合併で山本村(昭和37年町制施行して山本町)となっています。駅舎は鯉川と同じく昭和57年に海上コンテナ改造のものになりましたが、平成18年2月に現駅舎に改築されています。

森岳駅

56分遅れの北金岡13:06発普通秋田行き652M(クハ700-28)で森岳へ。森岳温泉への最寄り駅かつ平成18年3月の合併で三種町となった旧・山本郡山本町の玄関口で、特急「つがる」と臨時快速「リゾートしらかみ」の停車駅です。かつて運行されていた寝台特急も停車していました。昭和37年6月改築の駅舎は国鉄準主要駅らしい雰囲気を色濃く残しています。明治35年8月の駅開業時の所在地は山本郡森岡村で、東北本線盛岡駅と読みが同じであったことから混同を避けるべく一字変えて「森岳」と命名されました。開業2か月後の10月10日には村名も駅名に合わせて森岳村に改称されています。森岳の名は戦後、石油の採掘中に湧きだした森岳温泉のリゾート開発によって有名となり、今に至ります。

富根駅

24分遅れの森岳14:48発普通弘前行き1663M(クモハ701-14)で富根へ。富根には50分遅れでの到着で、ここまでダイヤが乱れてしまうと極寒の無人駅に降りるのも命がけです。ただ幸いにも今は列車の位置情報がスマホでも見れるので、これを見て降りて行けばまだ何とかなるのが救いでしょう。富根は昭和30年の合併で二ツ井町(平成18年能代市と合併)となった旧・山本郡富根村の名を今に伝える駅で、かつては駅舎の一部を改装して「富根農協スーパーストア」が営業していました。農協スーパーでは簡易委託も行っていたものの、平成18年3月末で閉店。旧駅舎は平成21年5月に解体されて、8月に現駅舎が完成しています。

考える少年像

駅舎前に鎮座する「考える少年像」は昭和42年度富根中学校卒業記念制作作品だそうで、制作した生徒たちが今生きていればちょうど70歳くらいでしょう。富根中学校も昭和44年に統合と無くなってからかなり経ちます。55年もの間、富根駅に背を向けてきた像は雪に埋もれて何を思うのでしょうか。

東能代駅

53分遅れの富根14:51発普通秋田行き1656M(クハ700-102)で東能代へ。五能線の分岐駅で、以前に訪問済みなので本来なら降りる必要はないのですが、どうせ列車を待つなら有人駅の方が安心して待てるだろうと降りることに。この日五能線は終日運休でバス代行となっていました。

仮駅舎の大館駅

25分遅れの東能代16:20発普通弘前行き1671M(クモハ701-32)で大館へ。途中で遅れが拡大したため、大館には52分遅れで到着となりました。大館駅は駅舎改築工事のため仮駅舎で営業中。1番ホーム上屋も撤去されているので、改札からホーム・跨線橋までは雪に濡れて行かねばなりません。

高田屋 肉丼(豚)

夕食は大館駅前の食堂 高田屋の肉丼。並盛ながら他店の大盛以上にボリュームたっぷりの丼に味噌汁と小鉢もついて900円。すき焼きを思わせる具材(野菜、蒲鉾、豆腐)の入った肉丼で心も身体も温まりました。夕食の後はいとく大館ショッピングセンターでダックスムーンのCDを購入し、快活クラブ大館店に宿泊しました。

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ダックスムーンには大館駅の発車メロディとなっている「ハチ公物語」「きりたんぽ物語」をはじめとしていい曲が多いので、是非聴いてみてください。