8/12 終焉近い415系・413系を記録する&IRいしかわ鉄道駅めぐり
この日は往復夜行バスで金沢に向かい、ひたすら置き換え迫る415系・413系を金沢駅で記録しました。
バスタ新宿を23:15発KBライナー101便で出発し、金沢駅西口に到着したのは翌朝の7:18。IRいしかわ鉄道の一日乗車券を購入し、早速ホームに上がると7:26発普通松任行き628M(B11+B08)が停車中。先頭のクハ455-702はサハ455-6を先頭車化改造したもので、急行型電車の最後の生き残りともいえる存在です。製造は昭和46年と急行型としてはだいぶ新しい部類に入りますが、それでも今年で製造49年。
7:40発普通七尾行き833M(C02+C07)の先頭車は分散冷房のクモハ415-802。昭和42年5月製造のモハ113-160がルーツです。415系800番台のうち分散冷房を装備するのはクモハ415-801と802の2両のみでしたが、801は平成28年に廃車されています。
7:37着の828Mは413系B09編成。車体は昭和63年製造と比較的新しいため415系と比べればまだまだ使えそうに思います。
正直近郊型に比べると興味は薄いですが、特急も撮っておきましょう。しらさぎ4号は金サワW12+?。正面に編成番号がなく、側面の車番が小さい形式は記録がやりにくいですが、今撮っておけばのちのち撮って良かったと思うこともあるでしょう。
7:55着の629M(B08+B11)は先ほど松任へ向けて発車していった628Mの折り返し。B08は出場してからそれほど経っていないのか車体が艶々としています。
8:12発普通七尾行き835M(C09+C03)はB08とは対照的な色褪せ方。クハ415-803は昭和40年製のボロボロの車体を補修した跡がパッチワークのようになっていて痛々しく見えます。よくまあこの状態で走らせているものだと思いますが、おそらく521系がデビューすれば真っ先に廃車となるのでしょう。
8:37発普通七尾行き837M(C05)も相変わらず古い車両ばかりの編成ですが、こちらはパッチワークではありませんでした。クモハ415-805は昭和41年製のモハ113-135がルーツ。
8:37着の834M(C10)はそれほどひどいパッチワークではありませんが、なんせ顔の部分なのでよく目立ちます。クハ415-810は昭和41年製のクハ111-417がルーツ。113系と言えば昭和50年代製造の後期車ですら風前の灯火となっている現状を思えば、残っているのが奇跡だと思えるような骨董品ばかりやってきます。
サンダーバード14号は金サワT14+金サワT52の堂々たる12両編成。特急街道らしい貫禄ある長編成ですが、個人的には短編成のこうのとりの方が好きだなと思います。地元過ぎて却って撮る機会がありませんが。
8:52着の836M(B08)は七尾線列車には珍しく1番線に到着。この編成も車体は割と綺麗ですが、クハ415-808は昭和39年8月11日付製造のクハ111-338がルーツ。JRの現役電車の先頭車としては最古参に当たる56歳。とはいえ、京阪や能勢電、南海といった関西私鉄にはこれよりさらに古い電車がまだゴロゴロしているのが恐ろしいところです。
撮影を続けていると、9:57頃、4番線に521系U01編成の試運転列車が入線。415系・413系に替わって七尾線のこれからの主役となる車両で、今年秋から営業運転を開始する予定。2連15本で413系3連6本と415系3連9本を置き換えるとのことですが、果たして2両編成で足りるのか気になるところです。
10:21着の840M(B04+B06)の先頭はクハ455-701。昭和46年製のサハ455-1を先頭車化したもので、702と共に急行型電車の最後の生き残りです。2両目のモハと見比べてもらうと扉配置の違いがよくお分かりいただけるかと思いますが、同じ編成に扉配置が違う車両が混在する例も今ではすっかり少なくなりました。
10:31発普通七尾行き841M(C11)は415系800番台のラストナンバー。とはいえ、クハ415-811のルーツは昭和39年9月4日付製造のクハ111-352なので、決して新しいわけではありません。
3時間半ほど前に4番線から回送されていった413系B09編成が11:31発普通七尾行き843Mに充当されるためホームに帰ってきました。車体は別物ですが、屋上のキノコ型クーラーが急行型電車を感じさせます。
415系C05編成も3時間半ぶりに12:09着844Mとして戻ってきました。午前中に動いていた編成はこれでほとんど撮ったことですし、一旦金沢駅を離れるとしましょう。
金沢13:02発普通富山行き443M(クモハ521-55)に乗り、倶利伽羅へ。IRいしかわ鉄道とあいの風とやま鉄道の境界駅で、石川と富山の県境の石川側にあります。持っているIRの一日乗車券で来れるのはここまで。金沢からたった17分ですが駅前に小集落があるだけの山間の駅です。駅舎の建物財産標には「明治40年12月」の文字があるので、ひょっとすると明治41年12月に信号所として開業した際に建てられたものかもしれません。開業からわずか半年後には駅に昇格して旅客扱いを開始しています。
写真を撮るために駅舎の扉を閉めたところ、ヤモリが出てきましたが、あっという間に駅舎と基礎の隙間に潜り込まれたので写真を撮ることができませんでした。
改札脇および駅前には当地で繰り広げられた倶利伽羅峠の戦いにちなんで火牛のモニュメントが設置されています。木曽義仲が角に松明を括り付けた牛の群れで平家群を谷底へ追い立てたという話が有名ですが、史実かどうかは疑問視する声もあるようです。
倶利伽羅13:58発普通金沢行き552M(クハ520-8)で東金沢へ。金沢貨物ターミナルに隣接する駅で、平成14年に北陸新幹線建設用地確保のため、北に200mほど移転して橋上化されました。現在ホームがある線路は元貨物線で、旧駅があったという新幹線の高架との距離を見るに昔はかなりの規模を持つ駅だったようです。
東金沢14:24発普通富山行き447M(クモハ521-30)で森本へ。金沢市の郊外にある駅で、平成14年12月改築の橋上駅舎は北陸新幹線の高架下にあります。訪問時は駅前の整備工事中でした。
森本14:37発普通七尾行き849M(クモハ415-810)で津幡へ。IRいしかわ鉄道と七尾線の分岐駅ですが、特急は上り2本を除き停車しません。駅舎は昭和57年12月に改築された平屋建てのもので、屋根の形が個性的です。駅前には巨大な駐輪場があります。
津幡駅から13分ほど歩いて二十刈踏切へ。交流から直流へ切り替わるデッドセクション区間にある踏切です。早速やってきた能登かがり火5号(金サワW03)を撮影。デッドセクションを通過中なのでライトが片目点灯になっています。
しばらく待つと普通金沢行き852M(C03)がやって来ました。片目点灯の415系は引退までに是非撮っておきたかったので目的はひとまず達成。
夏場とはいえ、前日の雨の影響でこの日の金沢は比較的涼しかったので踏切で待つのも苦になりませんでした。
普通七尾行き851M(B09)も撮影。踏切で待ち構えていると、遠くでは両目点灯なのに途中で片目になるのが分かって面白いです。片目点灯は新しい車両では起きない現象なので、おそらく521系への置き換え後は見られなくなることでしょう。
津幡16:23発普通金沢行き854M(クハ415-809)で金沢へと戻ります。乗るのもこれが最後でしょうから車内も撮影。ボックスシートはあまり見ないタイプのものですが、後の車両に受け継がれていない辺り失敗作だったのでしょうか。座り心地が悪くないなら家に一脚欲しくなるような見た目です。
クハ415-809のルーツは昭和42年5月20日付で製造されたクハ111-458。新製配置は高槻とのことですから、昔は東海道・山陽本線で活躍していたのでしょう。七尾線にやって来てから今年で29年になります。
17:05発普通七尾行き855MはC02+C03の6両編成。先頭車は前に触れた分散冷房のクハ415-802ですが、それに続く2両目はモハ415-802。昭和39年7月7日付で製造されたモハ112-12がルーツで、JRの電車の中では現役最古参です。昭和39年から57年にかけて2943両が製造された、直流近郊型電車を代表する形式・113系のうち最初期に製造されたものに当たります。遠めに見ても分かるくらいボロボロですが、よくまあ令和の時代まで生き残ったものだと思います。
帰宅ラッシュ時間帯ということもあって貴重なあいの風とやま鉄道の413系もやってきます。17:42着436Mとして到着し、折り返し17:59発普通泊行き463Mとなったのは413系AM05編成。JR時代と変わらぬ青一色を纏っています。足回りは古いですが、車体は平成元年11月17日製造と新しいので、まだ廃車にするには勿体ないように思えます。
18:18発普通七尾行き859MはC11+C03の6両編成。朝はC09と組んでいたC03ですが、いつの間にか相方がC11に替わったようです。クモハ415-811のルーツは昭和43年12月6日製造のモハ113-230。415系800番台の中では一番製造が新しい車両で、最古参とは4年5カ月の年齢差がありますが、それでも今年で車齢52年。
18:56発普通小松行き654M(J19+?)。415系を撮るのに夢中でほとんどカメラを向けなかった521系ですが、北陸新幹線が敦賀まで開業すればほとんどの車両が3セクに移管されてしまうので、撮っておくに越したことはありません。
19:37発普通泊行き471M(AM03)にはイベント列車「とやま絵巻」が充当されていました。塗装が湖西線の忍者列車と似てると思うのですが、あちらは113系で扉数が異なります。
19:32着862M(B6)はデッドセクションでもないのに何故か片目点灯で入線。球切れだったのでしょうか。
20:40発普通泊行き477M(AM04)は北陸地域色の413系。新北陸色のAM02編成は残念ながらお休みのようで、引退までになんとか見たいものです。
クモハ413-7のルーツは昭和37年7月20日付製造のクモハ471-3で、昭和62年3月31日付で車体を新製しての更新が行われています。
21:44着の359M(J03+J02)の幕回し中の姿を撮影。521系に新快速幕が入っているとは知りませんでしたが、果たして使う機会はあるのでしょうか。
22:17発普通七尾行き871M(C08)を見送ってから金沢駅を後にします。クモハ415-808のルーツは昭和42年5月20日製造のモハ113-163。和歌山線105系の置き換えペースの早さを見るに、七尾線の車両置き換えも一瞬でしょうから、恐らく415系800番台を見るのはこれが最後になるでしょう。
帰りは22:45発KBライナー202便に乗車。座席は一番後ろでしたが、前との感覚が異常に狭く、窮屈でこれまでで一番寝れない夜行バスではなかったかと思います。ともあれ翌朝6:04に無事バスタ新宿に到着しました。