11:15 森の中の未舗装道を抜け、札沼線屈指の秘境駅、豊ヶ岡駅へ。
周囲に人家も見えない森の中に、木造待合室と傾いたホームだけの駅が存在しています。有名な秘境駅というのは、往々にして実際に行ってみると思ったほど秘境感が無かったりするものですが、ここは車で来れはするものの本物の秘境駅だと言って差支えないと思います。
待合室内には卓袱台が置かれていて、「人ん家」感が漂っています。ほっとひと息つけそうな感じで、もっとゆっくりしたくなります。
一応トイレも併設されていますが、真っ暗で中の様子を確かめる勇気は無かったのでスルー。
ホームは一部がコンクリ、一部が枕木という変わった造りですが、それが気にならなくなるくらいに傾いています。ホームへ上がる階段もズレているので足腰の弱いお年寄りには危なそうな気がしますが、あと一年もせずに廃止されるから直さないんでしょうね
駅を間近で見た後は、近くの跨線橋から遠景を撮影。鉄道雑誌なんかにもよく載っている定番構図で、森の中ということを強調できますが、待合室が入らないのは残念です。
11:36 札比内駅へ。昭和10年開業時に建てられた木造駅舎がコンパクト化されつつ残っています。平成22年までは簡易委託の窓口が営業していたそうで、今も駅舎内にその跡が残っています。
ホームはやはり片面ですが、かつては島式だったことがその形状から推察できます。周囲はよく開けており、すぐ隣が鬱蒼とした森の中の豊ヶ岡駅だというのが信じられません。
駅前の渋谷薬店で切符を売っているとのことだったので、記念に購入。この時は総販マルス券でしたが、増税に合わせて常備券での販売に変更されたそうです。常備券も気になるので廃止までにまた買いに行かなければなりません。
ちなみに、渋谷薬店で販売している切符は「札比内→豊ヶ岡」の一種類だけだそうで、地元の人がわざわざ秘境駅まで列車で行くとは思われませんから、間違いなく鉄オタ向けの切符だと思います。廃線まで頑張って稼ぎまくってほしいものです。
12:00 晩生内駅へ。「おそきない」と読む難読駅で、札比内の駅舎を左右反転させたような木造駅舎が残っています。駅舎内には何故か吉川英治全集の分厚い「新・平家物語」全六巻ときんさんぎんさんの手形が置かれていました。
ホームも札比内と同じく、島式時代の面影が残る片面ホーム。札比内駅とはまさに兄弟といった感じで共通項がいくつも見て取れます。
12:13 札的駅へ。古びたモルタル待合室とコンクリ板ホームからなる駅で、集落の外れにひっそりと存在しています。
待合室は見た目からもなかなか年季が感じられますが、中も結構渋めです。奥に併設されているトイレも見るからにヤバそうな感じです。知来乙駅の待合室と似たようなものが感じられますが、開業はこちらの方が2年遅いです。
ホームの錆びて茶色くなった柵の上には赤とんぼが何匹も止まっていました。そろそろ繁殖の季節でしょうか。
12:25 浦臼駅へ。あまり駅舎らしくない見た目の駅舎「ふれあいステーション」は大部分が歯科医院となっています。折り返し列車が一日5本設定されており、この先新十津川まで行く列車は一日一往復のみとなっています。
ホームは至ってシンプルな片面で、かつては広い構内を持っていたそうですが、その痕跡はほとんど残っていません。とても一日5本もの列車が折り返す主要駅には見えません。
駅スタンプは役場にあるとのことだったので、続いて樺戸郡浦臼町役場へ。
駅から役場までは本当に近く、駅が町の中心にあるのが実感できます。けれど、人口が2000人に満たず、令和に入るまでコンビニ空白地帯だったような町では札沼線を残せるほどの利用に結び付けるのは無理でしょうね。札沼線が滝川に繋がっていたらまた違った結果になったのかもしれませんが。
浦臼の次の駅は札的ですが、その前に浦臼温泉(浦臼町温泉保養センター)へ。
浦臼駅のご当地入場券はこちらで販売していました。
ちょうど昼時で、お腹が空いていたので保養センター内のレストランで昼食。
「ジンギスカン定食」は800円。お手頃価格でお腹いっぱいになることができました。
ご当地入場券の販売は終了しましたが、これから浦臼へ行かれる方は是非どうぞ。
但し、浦臼駅からも鶴沼駅からもそれなりに遠いので、車利用が前提となりますが