まだ見ぬ駅を求めて~逆瀬の駅巡り旅~

駅巡りの記録をひたすら載せていくブログです。やたら更新する時と全く更新しないときがあります。

10/12 大雨の越後平野をドライブ(庁舎・近代建築・蒲原鉄道保存車めぐり)

Willerのタイムセールで新潟に安く行けるようになっていたので、二日かけて気になっていたところを車で回ってきました。

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早朝の新潟駅

前夜22:50に池袋サンシャインバスターミナルを出たウィラーエクスプレスH5157便が新潟駅南口に到着したのは翌朝5:25のことでした。天気は生憎の雨で今日の行程が思いやられます。

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新潟市南区役所(旧白根市役所)

7時に車を借りて一時間ほどで南区役所へ。昭和46年7月30日に白根市役所として建てられた庁舎で、平成17年3月21日に新潟市編入されてからは白根支所として使用され、平成19年の政令市移行で南区役所となりました。元が人口約4万の市の市役所だっただけあって立派な建物です。

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白根の街並み

白根は古くから中ノ口川の舟運で栄えた街だけあって、中心部には古い建物が多く残されています。歩道部分に架けられたアーケードはいかにも豪雪地帯を思わせます。

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第四北越銀行白根支店(旧中蒲原郡白根町役場)

その一角でひときわ目を引く3階建てのこちらの建物は昭和9年白根町役場として建てられたもの。昭和34年の市制施行を経て、昭和46年に先程の南区役所が完成するまで使われました。市役所としての役目を終えた後は銀行として使われ、築87年の今なお現役です。モダンなデザインで、綺麗に塗り直されていることもあって古さはあまり感じられません。

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燕市役所燕庁舎(旧燕市役所新館)

続いて燕へ。市役所燕庁舎は昭和53年に燕市役所新館として建てられたもので、かつては手前に佐藤武夫が設計した昭和37年6月竣工の本館が建てられていました。平成18年3月20日の新設合併で市役所本庁舎は吉田に移り、以降は燕庁舎として使用されましたが、平成26年6月に本館を解体。新館は耐震補強の上、新たに燕庁舎となりました。現在は燕サービスコーナー、水道局、健診センターが入居していますが、サービスコーナーは近い将来廃止、水道局は移転が予定されています。

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燕市浄水場配水塔

中央公民館の敷地内に建つ「水道の塔」は燕のシンボル。西出辰次郎の設計によって昭和16年に完成したもので、昭和44年まで使われました。平成25年に国の登録有形文化財となりましたが、落下防止のネットに覆われ、周辺が立入禁止になっているため近付くことはできません。当然、見上げるように撮ることになるため、雨の中での撮影は大変でした。

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長岡市中之島支所(旧南蒲原郡中之島町役場)

続いて中之島へ。平成17年4月1日に長岡市編入されるまでは中之島町でした。立地的には長岡市より見附市編入された方が良かったのではないかと思います。中之島支所の庁舎は昭和43年に中之島村役場として建てられたもので、昭和61年10月の町制施行を経て合併後も引き続き使われています。中之島名物大凧をイメージした六角形の窓が目を引く個性的なデザインで、遠くからでもよく目立ちます。

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みつけタクシー

次の目的地・栃尾へ向かう途中、見附で気になる建物を見つけたので撮影。詳細は不明ですが、タクシー会社の事務所に看板建築風の装飾がありました。

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長岡市栃尾支所(旧栃尾市役所)

山を越えて栃尾へ。昭和42年2月15日完成の栃尾支所はかつての栃尾市役所。雨に濡れたコンクリートが何とも言えぬ味を出しています。ほんの数年前までどこにでもあった典型的なモダニズム建築といった感じです。今のところ建て替え計画はないようですが、果たしていつまで残るでしょうか。

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雁木の建物

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雁木

栃尾の街並みには雪国特有の「雁木」が見られます。言うなれば「和風アーケード」で、風情を感じさせます。小学校の頃に社会科で習ったものの実物を見るのはこれが初めてでした。

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栃尾服地 諸橋

雁木の街並みの中には年季の入った建物も多く残されています。この建物の詳細は不明ですが、デザインから見て昭和初期のものでしょうか。生憎の天気なので一通り見て切り上げましたが、今度は城跡などにも足を延ばして泊りで歩いてみたいものです。

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栃尾市民会館

栃尾市民会館は昭和47年11月着工、昭和49年3月31日完成で、同年6月1日に開館しています。市役所と比べると見た目はそれほど古くありませんが、現在新しい交流施設を建設中のため、役目を終える日は遠くなさそうです。

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栃尾市立入東小学校

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入東っ子 ここに学ぶ

栃尾からさらに山間へ分け入り、入東小学校跡へ。昭和38年に来伝小学校と吹谷小学校を統合して開校した小学校で、平成13年に閉校となりました。現在残っている校舎は昭和26年に入東谷村立入東谷中学校として建てられたもので、栃尾市立南中学校第二校舎となった後、昭和37年から来伝小学校として使われていました。建物は残っていますが、草が繁茂していたので近づくことは叶いませんでした。

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上来傳地区公民館(旧古志郡入東谷村役場)

入東谷には昭和12年に建てられた入東谷村役場も残っています。入東谷村は昭和30年に栃尾市編入されて消滅、その後しばらく支所として使われた後に公民館に転用されたようです。築80年を越える古い建物ですが、しっかり管理されて壁も張り替えられているため状態は良好です。

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三条市役所下田庁舎(旧南蒲原郡下田村役場)

入東谷を後に下田(しただ)へ。平成17年5月1日の合併で三条市となった旧南蒲原郡下田村です。下田庁舎は旧下田村役場で、おそらく昭和47年に建てられたもの。なかなか良い雰囲気のモダニズム建築です。『下田村史』には、山村開発センターを役場改築に先立って昭和46年に建設とあります。

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旧羽生田郵便局

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旧羽生田郵便局の瓦

一旦加茂を通り過ぎて田上町の旧羽生田郵便局へ。明治43年または明治45年5月に建てられたという2代目局舎が残されています。瓦には「〒」マークがいくつも掲げられており、消印を模したデザインの中に「44.5.29」の文字も。細部を見れば面白い建物ですが、傘を差しながらなのであまりじっくりとは見れませんでした。道が狭いので、見学の際は車への注意が必要です。

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加茂市民俗資料館

少し戻って加茂へ。まずは加茂市民俗資料館を見学。建物は旧図書館を転用したもので、詳細は分かりませんが、なかなか古そうです。展示は無料とは思えないほど充実しており、職員の方も親切でした。

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旧賀茂銀行上条出張所

資料館を見学した後は周辺を散策。旧賀茂銀行は大正11年に建てられたもので、昭和4年の合併で第四銀行加茂支店となり、昭和7年まで銀行として使用されました。平成7年に道路拡幅で移築されて現在に至るそうですが、空き家となって老朽化が進んでいます。現地で見た時は「このまま取り壊されてしまうのだろうか」と心配しましたが、後で調べたところ、来年度より保存に向けた整備を検討ということで、期待したいところです。

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古民家巣立ち

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製材工場事務所

加茂川の対岸にも古い建物が残っています。製材工場事務所の方はノーマークだったので見つけた時は嬉しかったです。

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旧西山医院?

地図上では旧西山医院となっている建物。増築したらしい3階部分が目を引く洋風建築です。半開きの窓からは白猫が顔を出していました。

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旧七谷郵便局

加茂市街を後に、昭和29年に加茂市編入された七谷へ。旧七谷郵便局は昭和10年に建てられたもので、喫茶店として活用されてきました。

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営業終了を知らせる看板

築86年の割に建物の状態は良く、美しい姿が保たれていますが、老朽化には勝てなかったようで、この建物での営業を終了する旨書かれた看板が入口に置かれていました。建物の今後については書かれていませんが、古い建物を個人で維持し活用していくのには並々ならぬ苦労があったことでしょう。自然災害の多い国で古い建物を維持していくことの大変さが改めて思い知らされます。

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蒲原鉄道 七谷駅跡

加茂川を渡り、蒲原鉄道七谷駅跡へ。昭和60年4月に廃止となった蒲原鉄道村松~加茂間にあった駅で、廃止まで列車の交換が行われていたため、有人駅でした。現在も駅舎と島式ホームが残っています。

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七谷駅 駅舎

黒水東区集会場に転用されて残っている駅舎はおそらく昭和35年に建てられたもの。昭和35年1月10日午後11時ごろに駅長社宅より出火して駅事務室、売店、宿直室を焼いたと記録にあるので、火災後に建て直されたのでしょう。カラーフィルムが手に入りやすい時代まで残っていて、列車交換が行われていたためか、現役時代に記録された写真も多くネット上にアップされており、比較的往時を偲びやすい駅跡と言えるでしょう。

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蒲原鉄道 モハ1

さらに山奥へ分け入り、冬鳥越スキーガーデンへ。蒲原鉄道で活躍した車両が保存されています。モハ1は五泉村松の開業に際して大正12年7月に蒲田車輛製作所で製造された車両で、昭和29年に廃車となりました。廃車後も車体は村松車庫内で職員詰所として廃止まで残っており、保存に際して現役当時の姿に復元されました。現存する貴重な木造電車であり、保存継続のためにクラウドファンディングで屋根が取り付けられる予定です。

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蒲原鉄道 モハ61

モハ61は昭和15年4月に日本鉄道自動車工業で製造された武蔵野鉄道クハ5856が前身で、西武鉄道クハ1232を経て昭和33年1月に蒲原鉄道に入線し、平成11年10月の全線廃止まで活躍しました。扉間に6枚の2段窓が並ぶ整ったデザインの電車で、モハ1に負けず劣らず貴重な存在です。

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蒲原鉄道 ED1

ED1は全線開通を前にした昭和5年5月に日本車輛名古屋本店で製造された電気機関車で、当初はEL1を名乗っていました。晩年は構内入換に活躍し、平成11年の廃止後は村松駅跡で放置されていましたが、平成21年6月に冬鳥越に移設されて修復されました。

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蒲原鉄道 モハ11

山を越えて五泉市に入り、村松城址へ。ここにはモハ11が保存されています。屋根付きですが、野ざらしだったモハ1などより状態が悪く、自治体の保存に対する温度差を感じてしまいます。モハ11は村松~加茂間の開業に先立ち、昭和5年3月に日本車輛東京支店で製造された車両で、昭和60年4月の村松~加茂間廃止時に廃車となりました。

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すがや商店

 

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五泉の看板建築

蒲原鉄道跡沿いに北上して五泉市の中心部へ。ここも古い建物が残っていますが、日没も迫っているので、特に気になった2軒を中心に撮影。2枚目の建物の詳細は不明ですが、2階に出入口があるのが気になりますね。

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蒲原鉄道 モハ41

日没ギリギリですが、最後に粟島公園へ。モハ41が屋根付きで保存されていますが、ちょっと気になる傷み具合です。モハ41は昭和29年5月にモハ13からの改造名義で製造された車両で、昭和38年6月に西武所沢工場で車体延長工事を行って、平成11年10月の廃止まで主力として活躍しました。保存場所の向かいには高校があり、車両に架けられた大屋根はちょうど高校生の待ち合わせ場所になっているようでした。

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いっとうや かさね醤油

雨の夕暮れを走って新潟市内へ戻り、新潟ラーメンの人気店いっとうやで夕食。駅から離れていて行きにくい店に寄れるのもまた車移動の良さでしょう。豚骨と魚介の重ねスープに炙りチャーシューが美味しかったです。

 

この日は快活クラブ新潟桜木インター店に宿泊。ネカフェに入るまでの時間の潰し方に困るのが車移動の欠点と言えるかも知れません。