まだ見ぬ駅を求めて~逆瀬の駅めぐり旅~

駅めぐりの記録をひたすら載せていくブログです。やたら更新する時と全く更新しないときがあります。

6/28 初夏の宗谷本線駅めぐり その3

この日は駅間歩行を駆使して宗谷本線の廃止予定駅を中心に巡りました。

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南稚内

まだ朝早い南稚内駅からスタート。駅舎は昭和27年11月の移転翌年、28年に完成した木造モルタル造りのもので、正面部分に増築されているのでそれほど古さは感じられません。駅周辺には稚内の市街地が広がっています。

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幌延

南稚内5:24発普通名寄行き4324D(キハ54-503)で上幌延へ。次回ダイヤ改正での廃止が予定される駅で、駅舎はこのエリアでよく見かける貨車駅舎。外壁が傷んではいますが、安牛ほどの危機的状況ではありません。廃止後も移設して塗り直せば再利用できそうに思えます。

駅前は人家が一軒あるのみですが、鉄道開通前は幌延よりも栄えていたとのこと。法華宗の団体が入植して開拓した土地とのことですが、鉄道開通によって幌延に町の中心が移って寂れ、過疎化と離農によって元の原野へと還りつつあります。

訪問時、同じ列車から降りて同じように駅を撮っていた男性から駅をバックに写真を撮ってくれるよう頼まれ、せっかくなのでと自分も撮ってもらうことにしました。自撮り文化のない人間なので、こんな機会でもない限り駅をバックの写真を残せませんからね

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日本最北の貨車駅舎 勇知駅

幌延6:54発普通稚内行き4321D(キハ54-512)で勇知へ。稚内市南部の集落にある駅で、抜海駅廃止後は日本最北の無人駅となる予定です。ここも上幌延同様の貨車駅舎ですが、平成26年ごろにリニューアルされて内外装とも見違えるように綺麗になっています。綺麗に清掃された待合室の手作り椅子カバーや駅前の花壇からは地域愛が感じられます。駅前には小規模ながらも市街地が形成されていて、診療所や商店、郵便局もあるので廃止対象にはなっていませんが、末永く残ってほしいものです。

駅裏からはかつて簡易軌道勇知線が出ていましたが、全くと言っていいほど痕跡は残っていません。とはいえ機会があればその廃線跡を辿ってみたいものです。

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牧草地帯をひたすら歩く

勇知からは歩いて隣の兜沼を目指します。歩き始めて5分ほどで早くも勇知の市街地は途切れ、後は牧場がポツポツとあるだけの牧草地帯を延々と進みます。ところどころWindowsの丘みたいな景色が現れ、日本離れした景色の中を歩いていくのは結構楽しいのですが、あまりに人の気配がないので熊が出ないか心配になります。歩き始めて45分で稚内市天塩郡豊富町の境界を越えました。そこから15分も歩けば早くも兜沼の集落。とはいえ、見たいものがあるし、次の列車まで2時間ほどあるので駅には直行しません。

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兜沼郷土資料室(旧兜沼郵便局)

到着したのは兜沼郷土資料室。昭和9年から56年まで使用された旧兜沼郵便局で、現郵便局の隣にあります。開館は毎週土曜・日曜の午前9時から午後4時まで、なんとしてでも見たかったので開館日に合わせて予定を組みました。見学は無料です。

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郷土資料室内部

内部には昔のものが所狭しと置かれています。兜沼駅に関する資料など、鉄道関係のものもいくつか置かれていますが、惜しむらくは説明などがほとんどないこと。まあ、これだけの数の資料を分類して説明をつけるには相当な手間がかかるので仕方のないことなのでしょうが。訪問時は管理人のおばさまがモップをかけて床掃除の真っ最中。お話によれば、見学者は一日に2,3人程度でパッと見てすぐ帰ってしまうので暇で仕方ないんだそうです。私が入館した直後にも、成田から来て日本海沿いにドライブしてきたというおじいさんがやってきましたが、私よりも先に出ていきました。館内はそれほど広くはないので、じっくり見てもまあ30分かかるかかからないかといったところです。

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資料室奥の開かずの間

一通り見学して、気になったのは奥に通じる開かずの間。管理人さんに尋ねてみると、扉の奥は郵便局を建てて二代続けて局員をしていた梅村さんのお宅で、30年ほど前に相続した方が何もかも置いて出て行って以来ほとんど手つかずとのこと。

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旧梅村邸内部

「興味あるなら見てみる?一回も掃除してないから汚いけど」とのことで、ありがたく見させていただきました。確かに長年放置されていただけあって、雨漏りしていたり畳が腐っていたりするものの、修復すれば「旧梅村家住宅」として公開できそうに思います。残っている家具家電や日用品も「昭和末期の暮らし」がそのまま残っている感じで、ガラクタと言えばガラクタですが、今となっては資料的価値も高いのではないでしょうか。豊富町の開拓の中心となった梅村家の建てた住宅だけあって家自体も大きく立派です。修復するほどの予算も無いのでしょうが、このまま朽ちさせてしまうのはあまりにも勿体ないと思います。就活が終わったら、役場の方に許可を取った上で改めて住居部分について調査してみたいなと思います。

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移設された旧芦川駅 駅舎

管理人さんにお礼を言って資料室を後にし、徒歩1分。ほど近い民家の敷地内に、平成13年7月1日に廃止された旧芦川駅の貨車駅舎が置かれています。私有地に置かれているので近づいて中をのぞき込んだりはできませんでしたが、おそらく物置として使っているのでしょう。簡単に移設できるのが貨車駅舎の強みで、平成7年に廃止された幌成駅、同18年に廃止された智東駅、同28年に廃止された花咲駅、そして今年3月に廃止された南弟子屈駅の駅舎はいずれも移設の上で活用されています。また、改築で不要になった貨車駅舎が移設された恩根内駅の例もありますが、これはまた後で触れます。

次回ダイヤ改正で廃止となる駅のうち、紋穂内・安牛・上幌延の3駅はいずれも貨車駅なので、せっかくの移設できる強みを生かして何らかの形で活用してもらいたいと思います。

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宗谷バス? 廃車体

その近くにはこんなバス廃車体も。草が繁っていて近づくことができませんでしたが、塗装を見る限り宗谷バスのようです。草の少ない季節に再調査したいので、次来る時まで残っていてほしいものです。

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兜沼駅

寄り道をいっぱいして、ようやく兜沼駅へ。相対式ホームの交換可能駅で、駅舎は昭和63年10月改築の簡易なもの。駅裏には駅名の由来となった兜沼が広がっています。

列車を待っているとおじいさんおばあさん4人が車でやってきました。どうやら列車で帰る知り合い3人を1人が駅まで見送りに来たようです。そのうちおじいさん一人が駅名標を見て「今は芦川ないんだな」と言っていたり、「ここは急行停まらないから」と言っていた辺り、かなり久しぶりに列車を使う人たちのようでした。

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智北駅

兜沼11:00発普通名寄行き4326D(キハ54-512)に乗車し、3時間以上乗り続けて智北で下車。仮乗降場から昇格した駅で、平成3年12月に道路の付け替えに伴って名寄方面に100m移動した経緯を持ちます。ホームと待合室は移転時以来のもので、ホームの造りが新しいのでぱっと見西留辺蘂のような新駅に見えなくもありません。待合室にはよく見ると「KOMATSU」のロゴが入っており、市販のプレハブだと一目で分かります。駅舎改築の時に一時的に置かれる仮駅舎みたいですが、居住性はそれなりに高そうです。

駅から見える範囲に人家はありませんが、通学利用者でもいるのか廃止対象にはなっていません。

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南美深駅

雨の中を30分歩いて南美深へ。こちらも仮乗降場から昇格した駅で、年季の入った木造待合室がホームに背を向けて建っています。駅前には人家が何軒かあるものの、利用者は少なく、来年3月ダイヤ改正での廃止が予定されています。実は平成29年3月ダイヤ改正の際も廃止の話が上がっていましたが、この時は美深町が維持管理費を負担して存続する方針を示し、結局はJR自らが負担する形での存続が決まりました。それから4年間存続できただけでも凄いのでしょうね。廃止が決まった理由は、近くに列車よりも本数が多いバス停があって、それで代替できるからとのこと。

駅ノートの書き込みによれば、待合室は元々T字路の突き当りにあったそうですが、車が度々突っ込んで来たから現在の位置に移転したとのこと。国鉄が建てたものではなく地元の方が協力して建てたものなんだそうです。地元住民の愛が伝わってくるような駅ですが、残された時間はあとわずか。待合室だけでも残ってほしいですが、費用を考えるとなかなか難しいでしょうね。

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初野駅

南美深15:21発普通稚内行き4327D(キハ54-512)で初野へ。昭和34年11月と割と早い時期に仮乗降場から昇格した駅で、智北より少し小さめのプレハブ待合室が設置されています。同じ列車からは学生も下車して、駅前に停めてあった自転車で走り去って行きました。美深町内の無人駅のうち、当駅のみ廃止対象から外れているのはおそらく彼のおかげでしょう。駅周辺は田園地帯で、人家は少し離れた国道沿いに固まっています。美深町は稲作の北限地で、宗谷本線の車窓においては当駅以北では田んぼを見かけることがありません。

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国道40号をひたすら歩く

次の列車まで1時間40分ほどあるので歩いて隣の紋穂内を目指します。今回歩いた国道40号には恩根内行きのバスも走っており、列車よりも本数が多いのですが、時間もたっぷりあるしので歩いていきます。

歩くのに支障のあるほどの雨ではありませんが、いくら歩いてもずっと同じような景色で、勇知~兜沼の駅間歩行よりも体感時間を長く感じました。

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紋穂内橋を渡る

簡易郵便局のある交差点を右折して、紋穂内橋を渡り、駅へと向かいます。郵便局の手前で恩根内行きのバスに追い抜かれましたが、突然のことだったので写真は撮れず。

樹木が鬱蒼と茂る天塩川の河原に架けられた橋を渡って、秘境駅へ・・・なんとも魅力的なシチュエーションですが、あまりにも鬱蒼とした様子に少し怖くなります。

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紋穂内駅

右折して紋穂内停車場線を進み、カーブして突き当たると紋穂内駅です。駅前通りの途中に民家が一軒だけありますが、駅から直接は見えません。なんともすごいところに住んでいるなと思いましたが、車さえあれば美深の中心部までもそれほど時間はかからないでしょうし、案外不便な生活ではないのかもしれません。

紋穂内も貨車駅舎。外観はボロボロで、近くに寄ってみると旧塗装の緑が見えているのが分かります。しかし、見た目に反して中は案外綺麗です。とはいえ、25年も昔の落書きが壁に残っていたりと、色々時代を感じさせてくれます。塗り直せばまだ使えるように思うので、お金さえあれば引き取って旧塗装に塗りたいななんて妄想したり。まあ、移設は可能なので、普通の駅舎に比べれば引き取るのも夢ではないのかもしれません。

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恩根内駅

紋穂内17:16発普通音威子府行き4329D(キハ40-1761)で恩根内へ。こちらも廃止予定駅ですが、他の駅とは違って駅前にしっかりと集落が形成されていて、人の気配も感じられます。実際、一日の利用者数も1を下回ってはいないようで、他の駅に関しては残念だが仕方ないと思えますが、この駅の廃止に関しては疑問符が残ります。

駅舎は平成5年に建てられたもので、簡易駅舎ながら水洗トイレ完備で洗面台もある豪華仕様です。北海道の無人駅というとトイレはあっても基本的にボットンで、凍結防止のために水道は引かれておらず、手を洗えないという衛生面から言うと使いたくないと思えるような代物ばかりなのですが、この駅は違います。また、待合室も綺麗に掃除されていて、地元住民の愛も感じられます。このまま廃止して解体するにはあまりにも惜しい駅舎です。

※(令和2年7月27日追記)

恩根内駅については地元の反対によりとりあえずの存続が決まったとのことです。

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恩根内駅 旧貨車駅舎

簡易駅舎への改築前はというと、紋穂内などと同様の貨車駅舎でした。貨車駅舎から簡易駅舎への改築についての事情ですが、「貨車駅舎ではあんまりだということで、地域住民が自治会にかけあって美深町の方で駅舎を建設した」とのこと。この辺の事情は、八高線松久駅を思い出します。松久駅については過去記事をご覧ください。

sakasegawa3019.hatenablog.com

松久駅の場合、新駅舎の完成後もカプセル駅舎は存置されましたが、恩根内の場合は撤去され、恩根内中学校跡の工場に移設されました。何の用途に使われていたのかは不明ですが、その工場も今は稼働しておらず、貨車駅舎も窓を塞がれた状態で放置されています。駅から徒歩10分もかからない場所なので見に行きましたが、草に阻まれて近付けず。こちらも季節を変えて再訪しようと思います。

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ビジネスホテルサンフラワー

恩根内18:16発普通名寄行き4328D(キハ40-1761)で名寄へ。この日は名寄駅前のビジネスホテルサンフラワーに宿泊しました。夕食は駅前の三星食堂で食べようと思っていましたが、まさかの定休日。ホテルの前の西條Qマートで値引きされた弁当とおにぎりを買い込んで夕食としました。スーパーのおつとめ品は貧乏旅行の強い味方です。