まだ見ぬ駅を求めて~逆瀬の駅巡り旅~

駅巡りの記録をひたすら載せていくブログです。やたら更新する時と全く更新しないときがあります。

3/4 弥生の北陸本線・越美北線駅めぐり

この日は朝に北陸本線を少し降りてから越美北線の駅を巡りました。

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細呂木

福井を5:27発普通金沢行き321M(クモハ521-40)で出発し、細呂木で下車。昭和29年の金津町(現あわら市)成立まで存在した旧坂井郡細呂木村の駅で、昭和23年6月の福井地震で倒壊した駅舎に代わり同年12月に再建された木造駅舎が今も現役で使用されています。壁が張り替えられ、事務室部分が減築されるなどだいぶ手が加えられており、駅名表示が何故か「細呂木駅」ではなく「細呂木」とだけあるのが特徴です。

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牛ノ谷

細呂木6:33発普通金沢行き323M(クハ520-43)で牛ノ谷へ。昭和29年の金津町成立まで存在した旧坂井郡坪江村の駅で、石川県との県境の集落にある福井県最北端の駅です。大正7年11月に熊坂信号所として開業し、大正10年4月に駅に昇格しました。今年の4月15日で駅としての開業から100年を迎えます。

駅舎は昇格時に建てられたと思われるものですが、昭和23年の福井地震で傾く被害を受けて同年12月に復旧したという記録があるので、もしかしたらこの時に建て替えられているかもしれません。

駅周辺は静かな山間で、訪問した早朝には鶏の声だけが響き渡っていました。

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加賀温泉駅

牛ノ谷6:45発普通金沢行き325M(クモハ521-47)で加賀温泉へ。加賀市の代表駅で、加賀温泉郷への玄関口として特急列車の多くが停車します。北陸新幹線敦賀延伸の際には停車駅となる予定で、現在は新幹線駅の建設が進められています。

元は昭和18年に信号場として開業し、翌年昇格した、「作見」という小さな駅に過ぎませんでしたが、両隣の動橋と大聖寺が特急停車駅としての地位を争ったことから、その中間にある当駅に特急を停車させることになりました。昭和45年10月に「加賀温泉」に改称されて特急停車駅となり、駅舎も鉄筋コンクリート造平屋建ての立派なものに改築されて特急停車駅にふさわしいものになりました。

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加賀温泉駅 仮駅舎内

その時建てられた駅舎は新幹線建設工事のため、平成29年5月23日に仮駅舎に移転して解体。「加賀の自然と歴史、文化を見せる駅」として温泉郷や城下町に見られる伝統的な和の様式をモチーフとしたデザインの新幹線駅が完成するまで、しばらくは仮駅舎での営業が続けられることとなります。仮駅舎とはいえ特急停車駅だけあって内部は広く、みどりの窓口はもちろん、待合室内にはキオスクもあります。

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大聖寺駅

加賀温泉7:18発普通武生行き324M(クハ520-44)で大聖寺へ。昭和33年の加賀市成立まで存在した旧江沼郡大聖寺町の駅で、現在は加賀市役所の最寄り駅です。かつては駅裏から山中温泉への北陸鉄道山中線が分岐していましたが、昭和46年7月に廃止されています。駅舎は昭和28年5月改築の鉄筋コンクリート造平屋建て。天井の高い立派な造りが、山中温泉への玄関口として特急が停まっていた頃を偲ばせます。

駅前には石川県発祥のホテルチェーン「APAホテル」があり、元谷芙美子社長の顔写真入りの広告看板がホームに掲げられているのでなかなかインパクトがあります。

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丸岡駅

大聖寺7:57発普通福井行き1328M(クハ520-44)で丸岡へ。平成18年の合併で坂井市となった旧坂井郡坂井町の駅で、坂井市の代表駅ですが、隣の旧丸岡町の名を駅名としています。明治30年の開業時は「新庄」を名乗っていました。開業時の所在地は旧坂井郡東十郷村。駅舎は昭和23年の福井地震で被害を受けて翌年改築されたもので、平成22年5月にリニューアルされて展示コーナーや多目的ホールが設けられています。かつては丸岡町の本丸岡と春江町の西長田を結ぶ京福丸岡線が乗り入れていましたが、昭和43年に廃止されています。この駅に関しては以前訪問済みですが、その時は逆光だったので順光となる午前中に再訪しました。

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越美北線に初乗車

丸岡8:48発普通敦賀行き326M(クハ520-20)で福井へ。福井からは9:08発越美北線九頭竜湖行き725D(キハ120-202+204)に乗車。9時台で下り列車としては2本目という、本数の少ない路線ですが、ダイヤ改正からは末端区間の本数がさらに少なくなるので、この機会に全駅降りておこうという魂胆です。

一両目のボックス席が全部埋まっていたので、福井からは2両目に乗車しましたが、越前大野で切り離されるので1両目に移動しました。福井市周辺ではほとんど見られなかった雪ですが、越前薬師辺りから増え始め、分水嶺を越えて大野盆地に入ると一面の雪景色でした。

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越前富田駅

越前富田で下車。昭和35年越美北線が勝原まで開業した際に設置された、ホームと待合室だけの駅で、昭和29年の大野市成立まで存在した旧大野郡富田村の中心近くに位置します。無人駅にもかかわらず、昭和48年までは貨物の取扱があり、富田農協への短い引込線がありました。その引込線跡は県道171号線の陸橋建設の際に消失したようで、痕跡はほとんどありません。

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越前田野駅

25分歩いて越前田野へ。大野盆地の開けた風景の中にある駅で、路線の開業に4年遅れて昭和39年5月に開業したためか、ホームの造りが越前富田とは異なります。

周辺は田園地帯で、田んぼにはまだ雪が残っていますが、あちこちに緑が芽吹いており、春の訪れが感じられる風景でした。長く厳しい北国の冬の後に訪れる待ち遠しい春、不安を煽るようなニュースばかりの世の中にも穏やかな春が訪れてほしいものです。

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六条駅

越前田野11:24発普通福井行き728D(キハ120-202)で一気に福井市内へと戻り六条で下車。福井市郊外の田園地帯にある駅で、昭和35年の勝原開業時に開設された駅のうちの一つです。駅名は昭和30年の足羽町成立まで存在した旧足羽郡六条村に由来します。

越前田野や越前富田に比べればまだ街中ですが、それでも利用者はあまり多くないようです。

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足羽駅

20分歩いて足羽へ。昭和39年5月に開業した駅で、同時に開業した越前田野と造りは同じですがホームへの出入口の位置が異なります。昭和46年9月に福井市編入されて消滅した旧足羽郡足羽町の駅で、町名を名乗ってはいるものの、町の中心からは外れた田んぼの中にポツンと存在します。付近に目立つ建物は足羽第一中学校以外になく、通学専用駅とでもいった感じです。

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柿ヶ島駅

6分遅れでやってきた足羽13:00発普通九頭竜湖行き727D(キハ120-205)で柿ヶ島へ。越美北線九頭竜線)がその愛称の由来である九頭竜川を渡ってすぐのところにある駅で、立派なトラス橋の九頭竜川第一橋梁をホームから間近に見ることができます。

駅があるのは昭和29年の大野市成立まで存在した旧大野郡阪谷村の外れで、集落を見下ろす築堤上にあるので眺めは良いです。越美北線は当駅を出ると大野盆地に別れを告げて本格的に山間へと分け入っていきます。

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下唯野駅

20分歩いて九頭竜川を渡り、下唯野へ。旧大野郡富田村の外れ、下唯野の集落にある駅で、すぐ近くまで山が迫っています。越美北線は駅の造りこそ同じものばかりですが、立地や周囲の風景がそれぞれ違うおかげで同じような写真ばかりにならずに済みます。

駅はちょうど山の陰にあたるのか、溶け残った雪が多く見られました。

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小和清水駅

下唯野14:54発普通福井行き730D(キハ120-205)で小和清水へ。足羽川沿いの山間の集落にある駅で、駅名は明治22年の町村制施行まで存在した旧足羽郡小和清水村に由来します。駅のすぐ目の前を国道158号が通っており、京福バスが通っていますが、本数は列車よりもバスの方が多いようです。

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福井豪雨の記憶モニュメント

足羽川を見ながら美山へ向けて歩くこと18分、平成16年7月豪雨の記憶モニュメントが道沿いに現れました。モニュメントは泥流に押し倒された越美北線足羽川第七橋梁をもとに創られたもので、「日本国有鉄道 1958」の銘板も残っています。

この豪雨では越美北線の5つの橋梁が流失し、一乗谷~美山間が3年近くに渡って不通、越前東郷~美山間においてバス代行輸送が行われました。全線で運転が再開されたのは平成19年6月30日のことです。

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美山駅

モニュメントからさらに20分歩いて美山へ。平成18年に福井市編入された旧足羽郡美山町の玄関口で、越前花堂越前大野間では唯一の交換可能駅です。平成15年12月改築の駅舎は「美山観光ターミナル」で、待合室内に地元の物産が展示されています。

駅のある美山町の中心は、昭和30年の美山村(昭和39年町制施行)の成立までは足羽郡上宇坂村でした。

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越前大野駅

美山17:30発普通九頭竜湖行き731D(キハ120-205)で越前大野へ。大野市の代表駅で、夜間滞泊も行われる越美北線の運行拠点駅です。当駅を境に列車の本数はぐっと減り、当駅から九頭竜湖までの末端区間では一日4往復(5往復)となります。

駅舎は昭和35年12月開業時に建てられた、鉄筋コンクリート造平屋建てのものですが、平成15年4月に正面部分に和風の屋根が増築されました。城下町・大野市の代表駅ですが、中心部から少し離れた街外れにあるため、駅前に商業施設は乏しいです。

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俵屋旅館

この日は天保元(1830)年創業の純和風旅館、俵屋旅館に宿泊。構えからして格式が高く、素泊まりで早朝チェックアウトしてしまうのがもったいないように感じました。