まだ見ぬ駅を求めて~逆瀬の駅巡り旅~

駅巡りの記録をひたすら載せていくブログです。やたら更新する時と全く更新しないときがあります。

11/3 近代建築・庁舎を求めて岩手をドライブ(二戸~八幡平~奥州~東磐井~気仙沼)

 岩手ドライブ二日目は二戸を出発して南下し、気仙沼を目指しました

二戸市役所浄法寺総合支所(旧二戸郡浄法寺町役場)

日の出前に二戸を出発し、まずは浄法寺(じょうぼうじ)へ。浄法寺は平成18年に二戸市と合併した旧二戸郡浄法寺町で、安比川沿いの平地に街が開けています。中心部に建つ旧浄法寺町役場は平成14年1月開庁で、設計はアティック建築事務所。

二戸市消防団第九分団第一部屯所

古い建物が多く残る浄法寺市街の一角に建つ消防屯所は昭和13年ごろの建築。全体的にかなり手が加えられていますが、築80年を超えて今なお現役です。

旧高林商店(旧岩手銀行浄法寺支店)

角地に建つ背の高いこちらの建物は旧銀行。大正時代に建てられたものですが改装されているのでそれほど古い建物には見えません。のっぺりとした印象を受ける建物です。

浄法寺の街並み

浄法寺の街並み

朝の6時台の浄法寺は行き交う車も少なく、建物を見て回るにはこの上ない環境でした。空気も澄んでいますし新たな発見もあるので、知らない街を早朝に歩くのは気持ちがいいものです。

右門歯科クリニック

街の中心にあるバス駅「浄法寺駅」前の旧歯科医院もなかなか古そうな建物。隣の農協支所は解体中でした。

平舘の洋館

浄法寺から七時雨を越えて八幡平市西根町に入り、平舘へ。旧道沿いに戦前のものと思われる洋館が残っています。かつては診療所か郵便局だったのでしょうか?

中要旅館

その向かいの中要旅館は明治35年築。廃業して久しいようですが貫禄が感じられます。

平舘の廃屋

平舘の旧道沿いにはこんな廃屋も。飾り窓がいいですね。

西根家電

続いて大更へ。6年ぶりの大更駅が何もかも変わっていて驚きました。一方、駅前の古そうな電器店は健在。

旧肥料店?

こちらは旧肥料店? 屋根の形が独特です。いかにも雪国の建物といった趣。

中央浴場

こちらは現役の銭湯。看板建築風の外観が重厚感を感じさせます。背後に見えるのは岩手山

岩手県北バス 廃車体

大更の外れにある岩手県北バスの廃車体。6年前、花輪線の車内から偶然見つけて場所を保存しておいたのですがようやく見に来ることができました。相当長いこと放置されて荒れていますが、ライトなどはよく残っています。草がない雪解けの頃に来た方が良かったかもしれません。

口内の建物

そこからしばらく車を走らせ、盛岡・花巻を通り過ぎて北上市口内へ。伊達藩と南部藩の藩境にあった村で、昭和29年の北上市成立までは江刺郡福岡村でした。詳細は不明ながらも古い建物が多く残っています。

口内の近代建築

その中でも特に目を引くのがこの並び。左の看板建築とその隣の旧自転車店(水谷自転車店?)は間に屋根が架けられているので一体の建物だったようです。いずれも廃墟化しています。

口内のモダニズム建築

現在は水道設備店となっているこちらの建物。なんとなく農協建築っぽく思えるのですが、転用したものでしょうか。調べてみないことには何とも言えませんが。

梁川農業協同組合車庫

奥州市に入り、梁川(野手崎)へ。昭和30年の江刺町(のち江刺市)成立まで江刺郡梁川町だったところで、大瀧詠一さんの出身地でもあります。旧盛岡銀行野手崎派出所は解体されていましたが、消えた村名を残す農協の建物が残っていました。

小梁川館跡から見た梁川市街

野手崎には小梁川氏の居城・小梁川館(野手崎城)跡があり、幕末まで在住していました。小梁川氏は伊達持宗の三男・小梁川盛宗を祖とする伊達氏の庶流で、伊達郡小梁川(現在の福島県伊達市梁川)を本拠地としていました。この小梁川氏が入ったことにより野手崎に「梁川」の地名が付いたわけで、伊達氏が入植したことで「伊達」の地名が付いた北海道の伊達市と地名の付き方としては似たものだと言えるでしょう。入ってきた一族の氏姓から地名が付くのはそう珍しいことではなく「南部地方」も南部氏が治めていたことから付いたものです。

旧大箇口医院

野手崎から南下して玉里青篠へ。昭和30年の江刺町成立まで江刺郡玉里村だったところで、昭和11年に「大箇口医院」として建てられた美しい洋館が残されています。医院としては平成8年廃業、現在は宗教関係の施設となっているそうです。

玉里の廃屋

玉里の田んぼの中にある廃屋。おそらく農家だと思われますが、なかなか立派な造りです。いつ頃の建物でしょうか?

米里人首町

続いて人首(ひとかべ)へ。昭和30年の江刺町成立まで江刺郡米里村だったところで、明治8年までは人首村を名乗っていました。宮沢賢治の詩「人首町」の舞台になったところで、あちこちに説明看板が建てられているのがありがたいところ。

旧米里郵便局(4代目)

旧米里郵便局(5代目)

人首にも古い建物が多く残っていますが、その中で特に目を引くのが4代目と5代目の旧米里郵便局。4代目は大正14年、5代目は昭和9年と建設年代はわずか9年しか違いません。随分と短いスパンでの移転ですがどのような事情があったのでしょうか。5代目は4代目と比べて小さく見えますが、住居専用に改築した際に郵便局としての玄関を取り壊したとのこと。ちなみに宮沢賢治が最後に人首を訪れたのは4代目の建つわずか一年前、残念ながら宮沢賢治が利用した当時のものではありません。この近くの菊池家住宅は存在を知らず見損ねました。来年暖かくなったら今回行けなかったエリアと合わせてリベンジしたいものです。

旧一関市役所大東支所(旧東磐井郡大東町役場)

険しい山を越えて一関市に入り、大原へ。平成17年の合併で一関市となるまで旧東磐井郡大東町の役場が置かれたところで、現在も大東支所が置かれています。旧大東町役場は昭和34年竣工、合併後も支所として使われましたが平成27年3月16日の支所移転後は使われていません。使われなくなってから7年以上も解体されていないのは不思議ですが、倉庫代わりに使っていたりするのでしょうか。

大原の街並み

大原は今泉街道の宿場町として栄えたところで、古い建物が多く残っています。祝日のこの日、大原の中心部ではイベントが開かれていたようで、多くの人が集まっていて活気が感じられました。

ラーメンさくら家摺沢店 さくら家ラーメン

次へ向かう前に摺沢のラーメンさくら家で昼食。かつては陸前高田志津川にもあったものの震災被害で閉店し摺沢にしか残っていないご当地のラーメン店。あっさりとした醤油スープに背脂、ちぢれ麺の背脂チャッチャ系ラーメンでした。

カクダイ

腹ごしらえの後は摺沢市街の近代建築を撮影。蔵と木造建築の一階部分に増築をした建物です。大原・摺沢ともに古い建物は多いですが、近代建築らしい近代建築となるとあまりなく、むしろ蔵や町家が多く残っている気がします。

旧千厩署奥玉駐在所・旧消防団屯所

続いて奥玉へ。昭和31年の合併で千厩町になるまで東磐井郡奥玉村だったところで、集落の中にかつての消防屯所が残されています。外壁も板張りのまま、比較的良い状態で残されており、現在はガレージとして活用されている様子。

千厩の街並み

千厩へ。平成17年の合併で一関市となるまでは東磐井郡千厩町だったところで、市街地の規模はなかなかのものです。大きな書店が健在なところに「街」を感じました。

せんまや街角資料館(旧専売局千厩葉煙草専売所)

千厩に残る近代建築の一つがせんまや街角資料館。明治30年に千厩葉煙草専売所として建てられたもので、現存する唯一の専売所の建物です。妻木頼黄と矢橋賢吉による大蔵省の標準設計で建てられた下見板張りの洋館。国の登録有形文化財です。

藤沢市

千厩を後に藤沢へ。平成23年東磐井郡の他の町村より6年遅れて一関市に編入された旧東磐井郡藤沢町の中心で、千厩と比べると小さな街です。

旧藤沢小学校校舎

市街地の外れ、藤沢大籠線に面して旧藤沢小学校の校舎が建っています。昭和6年、または14年に建てられたとされるもので、現在は農機具販売店の格納庫として使われている様子。

黄海郵便局

続いて͡黄海(きのみ)へ。昭和30年の合併で藤沢町となるまで東磐井郡黄海村だったところで、宮城県との県境近くに位置します。旧黄海郵便局は昭和5年ごろの建築で、昭和40年まで使用されていました。原型が保たれており、装飾のレリーフも欠けることなく残っています。予定では今日は黄海で終わりとして気仙沼のホテルに向かうことにしていましたが、日没までにもう一つ行けそうです。

気仙沼市本吉総合支所(旧本吉郡本吉町役場)

ということで県境を越えて宮城県に入り、本吉(津谷)へ。平成21年に気仙沼市編入された本吉郡本吉町です。合併後も旧本吉町役場が支所として使用されています。定礎の日付は昭和34年12月2日と築60年越えの結構古い現役庁舎です。

丸井電気商会

中上薬局・中上呉服店

オノデラ時計店

本吉津谷の街並み

本吉市街については全くのノーマークでしたが、役場への道中、気になる建物がいくつかあったので歩いてみました。昭和30年の本吉町成立までは本吉郡津谷町だったところで、高台にあったために津波の被害を免れたようです。今朝歩いた浄法寺なんかと比べると瓦屋根が多く、だいぶ雪の少ない地方に来たことを実感しました。

まるまつ カツ丼

日が暮れる中、この日の宿泊地・気仙沼へ。東北地方のローカルファミレス・まるまつのカツ丼で夕食としました。オーソドックスなカツ丼、たまに無性に食べたくなる時があるんですよね。この日はアコモイン気仙沼に宿泊しました。

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