まだ見ぬ駅を求めて~逆瀬の駅巡り旅~

駅巡りの記録をひたすら載せていくブログです。やたら更新する時と全く更新しないときがあります。

3/7 弥生の飯田線(伊那盆地)・中央東線駅巡り

飯田に泊まった翌日は、駅巡りの前に飯田市街を散策

飯田の街並み

飯田の街並み

飯田は天竜川の築いた河岸段丘上に発展した街で、飯田駅から中心部を経て川の方へと坂を下っていくような地形をしています。市街地の中での高低差もあり、なかなか絵になる風景です。

飯田市立追手町小学校

近代建築も何軒か残っており、追手町小学校もその一つ。昭和4年に建てられた鉄筋コンクリート造地上三階地下一階建の重厚な学校建築で、平成17年12月26日に国の登録有形文化財となりました。

D51 402

橋南公民館横の公園にはD51 402が保存されています。昭和15年2月6日に日本車輛名古屋で製造、米原に新製配置されました。昭和18年3月6日に水戸に転属して15年働き、昭和33年3月2日に中津川に転属して、昭和47年3月27日に廃車となりました。その後、保存のため飯田にやってきますが、飯田とは縁もゆかりもなく、保存のための輸送が飯田線に入線した最初で最後の機会でした。飯田線は元が伊那電車軌道という路面電車からスタートしただけあって当初より電化されており、その長い歴史の中で蒸気機関車が活躍する機会はほとんどなく、縁のあるSLなんてそもそもいなかったわけですが… 地元からの愛着の薄さを示すかのように荒廃気味で、今後が危ぶまれます。

鼎駅

飯田市街から崖を下って松川を渡り、鼎駅へ。大正15年12月17日、伊那電気鉄道が飯田から伊那八幡まで延伸した際に開業した駅で、建物財産標の表記は「S1.12」となっています。大正15年から昭和元年に改元されたのは開業からわずか8日後の12月25日で、文字通り大正最末期の開業でした。開業時の所在地は下伊那郡鼎村。鼎村は明治8年1月23日に山村・名古熊村・一色村が合併して誕生した村で、三村合併を三本足の「鼎」になぞらえて、鼎小学校初代校長が命名しました。昭和29年4月1日に町制施行して下伊那郡鼎町となり、昭和59年12月1日に飯田市編入。最後の28年間は合併によって周囲を飯田市に取り囲まれていました。

切石駅

鼎7:28発普通伊那松島行き1501M(クハ212-5007)で切石へ。半径160mの急カーブに設けられた駅で、列車とホームの間が広く開くことから、中央の扉と比べて隙間の小さい車両前後の扉の使用が推奨されています。ホーム上の待合室は昭和55年12月築で、この手の無人駅としては大きめ。

下山村駅

切石7:43発普通天竜峡行き1500M(クモハ373-2)で下山村へ。旧鼎町の東部にある小さな駅で、ホーム上に平成28年2月築の待合室があります。当駅で列車を降りて伊那上郷駅で列車に追いつく「下山ダッシュ」で有名ですが、実際挑戦する人はどれくらいいるのでしょうか。

山吹駅

下山村8:00発普通伊那松島行き1503M(クハ212-5001)で山吹へ。河岸段丘上の集落にある棒線駅で、平成20年1月27日に廃止された旧上りホームが今も姿を留めています。かつては木造駅舎がありましたが、同年12月9日より簡素な待合所の使用が開始され、旧駅舎は解体されています。大正12年1月15日に伊那大島から延伸してきた伊那電車軌道の終点として開業、市田延伸によりわずか2か月で途中駅となりました。当時の所在地は下伊那郡山吹村。山吹村は昭和32年7月1日に市田村と合併して高森町となっています。

JR東海 山吹変電所(旧:伊那電気鉄道 山吹変電所)

駅の下平寄りには伊那電気鉄道によって建てられた山吹変電所があります。おそらくは駅開業時か市田延伸時に建てられたもので、昨日見た駒ケ根変電所と同じデザイン。

下平駅

15分ほど歩いて下平(しもだいら)へ。市田延伸時に開業した駅で、少し離れたところにロードサイドのショッピングセンターがあります。ホーム上の待合室は昭和36年12月築。

下市田駅

下平9:15発普通天竜峡行き204M(クモハ213-5005)で下市田へ。高森町最南端の駅で、大正12年3月18日の元善光寺延伸時に開業。ホーム上の待合室は平成28年1月に改築されたもので、ガラス張りの近代的なデザイン。駅前には樹齢600年近い天然記念物「下市田のヒイラギ」があります。

市田駅

12分ほど歩いて市田へ。下伊那郡高森町の役場最寄り駅で、高森町だけでなく天竜川対岸の豊丘村への玄関口でもあります。駅舎は昭和44年2月21日完成の鉄筋コンクリート造平屋建てで、内部には簡易委託の窓口が設置されています。大正12年3月13日に伊那電気鉄道の終点として開業しましたが、わずか5日後には元善光寺延伸で途中駅となりました。当時の所在地は下伊那郡市田村で、昭和32年7月1日に山吹村と合併して高森町となっています。

伊那田島駅

市田9:59発普通上諏訪行き219M(クハ212-5011)で伊那田島へ。南アルプスの山々を望む果樹園の中にある駅で、駅から見える範囲に建物はあまりありません。大正9年11月22日の上片桐延伸時に開業、当時の所在地は上伊那郡片桐村でした。駅名は片桐七ヶ村の一つ、田島村に由来。片桐村は昭和38年8月1日に南向村と合併して中川村となっています。上伊那郡中川村にある駅は伊那田島だけですが、役場や村の中心からは大きく離れています。

元善光寺駅

伊那田島10:38発普通飯田行き210M(クハ210-3062)で元善光寺へ。大正12年3月18日、伊那電気鉄道の終点として開業した駅で、同年8月3日の飯田延伸で途中駅となりました。駅舎は開業時に建てられたもので、平成25年3月末までは有人駅でした。開業時の所在地は下伊那郡座光寺村で、昭和31年9月30日の合併で飯田市となっています。平成5年7月1日の上郷町編入飯田市と地続きになるまで30年以上も飯田市の飛び地でした。駅名の由来となった坐光寺は本田善光が難波の堀江から持ち帰った本尊を安置して開いた寺で、本尊は後に長野市善光寺に遷されたことから、こちらが元善光寺と呼ばれるようになりました。駅名は昭和18年8月1日の国有化時に「座光寺」に改称されましたが、昭和25年5月20日に「元善光寺」に再改称されています。

上片桐駅

元善光寺11:30発普通岡谷行き221M(クハ312-3013)で上片桐へ。大正9年11月22日、伊那電気鉄道の終点として開業した駅で、県立松川高校の最寄り駅であることから学生の利用が多いです。開業時の所在地は上伊那郡上片桐村で、昭和31年9月30日に下伊那郡大島村と合併して下伊那郡松川町となりました。駅舎は平成21年2月改築で、背後に南アルプスの山々が聳えています。

伊那大島駅

上片桐12:42発普通天竜峡行き1412M(クモハ313-3016)で伊那大島へ。下伊那郡松川町役場の最寄り駅で、簡易委託の窓口が設置されています。大正11年7月13日に上片桐から延伸してきた伊那電気鉄道の終点として開業。当時の所在地は下伊那郡大島村で、昭和31年9月30日に上伊那郡上片桐村と合併して松川町となりました。駅舎は開業時に建てられたものです。

伊那大島駅

駅があるのは河岸段丘上で、駅前にも駅裏にも断崖があります。役場がある村の中心から、駅、駅裏と階段上に形成された地形に市街地が形成されており、駅前やホームからの景観はなかなかのものです。

伊那新町駅

伊那大島13:37発普通茅野行き225M(クハ212-5008)で伊那新町へ。国有化前は「南新町」を名乗っていた駅で、元は棒線駅でしたが、輸送力増強のため昭和41年3月25日に島式ホームの交換可能駅に改良されています。駅舎は有人化された昭和46年12月の改築で、待合スペースは設けられていません。待合室はホーム上にあり、トイレも閉鎖されているのでもはや無用の長物といった感じの駅舎ですが、外観だけは周辺駅よりも立派に見えます。

伊那松島駅

伊那新町16:04発普通豊橋行き568M(クモハ213-5003)で伊那松島へ。上伊那郡箕輪町の玄関口で、簡易委託の窓口が設置されています。伊那松島運輸区の併設される運行拠点駅で、当駅を起終点とする列車も数多く設定されています。明治42年12月28日に伊那電車軌道の最初の開業区間の終点「松島」として開業、大正12年3月16日の新線切替に際して改称されました。駅舎はこの時改築されたもので、平成4年に改修されています。駅名は明治8年2月18日の合併で中箕輪村が成立するまで存在した伊那郡松島村に由来。

岡谷駅

伊那松島16:30発普通岡谷行き229M(クハ312-3018)で岡谷へ。中央本線と辰野支線の分岐駅で、飯田線の列車が辰野支線に乗り入れることから、実質的には飯田線の終着駅といった雰囲気です。製糸業・精密機械工業で栄えた諏訪湖西岸の工業都市岡谷市の代表駅で、特急「あずさ」も一部が停車します。明治38年11月25日に中央本線の終点として開業。当時の所在地は諏訪郡平野村で、昭和11年4月1日の市制施行時に改称して岡谷市となりました。駅舎は昭和27年11月改築で、平成28年3月15日の改修で製糸場をイメージしたレンガ風の外観になっています。

下諏訪駅

岡谷17:10発普通大月行き442M(クハ211-4)で下諏訪へ。中山道29番目の宿場町で甲州街道との分岐点として栄えた諏訪郡下諏訪町の駅です。諏訪大社下社への参詣駅であることから、駅前には2本の御柱が立っています。昭和38年3月改築の駅舎は平成10年3月4日の改装で宿場町をイメージした和風デザインとなっており、令和2年3月27日にもリニューアルが行われています。

中央本線のうちJR東日本区間については下諏訪を最後に全駅制覇となりました。今回の駅巡りはここまで。下諏訪17:52発普通長野行き1545M(クハ210-2022)で長野へ向かい、長野駅前23:20発長電バス37002便で大阪へと帰りました。